「農地と土壌と私たちのからだに棲む微生物への無差別攻撃の正当性が疑われている。」
はじめにの冒頭で書かれていた言葉、そして締めは以下の言葉。
「なぜなら私たちは微生物というゆりかごから抜け出すことはないからだ。
私たちは隠された自然の半分に深く埋め込まれており、同じくらい深くそれは私たちに埋め込まれている。」
皆さま、こんにちは。
トータルバランス美容プランナーの小原 木聖です。
ある協会誌でこの本を強く紹介されており、なんだか気になって購入してみました。
本の裏にはこんな言葉が。
「マイクロバイオブーム研究で明かされた人体での微生物相の働きによる豊かな農業とガーデニング。
農地と私たちの体内にすむ微生物への、医学、農学による無差別攻撃を疑い、
地質学者と生物学者が、微生物研究と人間の歴史を振り返る。
微生物理解によって食べ物、胃腸と私たち自身の体への見方が変わる本。」
ちょっと難しい内容もあるかな?と思いましたが、
最後の言葉に心がふっと元気付けられるのを感じました。
そして、なぜ今この本が強くオススメされていたのかもわかったような気がいたしました。
コロナ禍によるウィルスや環境問題への過剰な恐れを払拭し、冷静な目を養えることではないか、と。
そもそも、著者である地質学者のご主人と生物学者の奥さんは、庭を求めてシアトル北部の古家を買っただけで、何かを学ぶつもりはなかったそうです。
ところが、ある意味プロであるはずのお二人は、購入してからこの庭の問題点に気が付きます。
庭の深部は氷礫土(ひょうれきど)だったのです!
※氷河により運搬された砕屑(さいせつ)物が,氷河の融解により置き去られたもの。
典型的なものは粘土で,数m〜数十mの巨礫をさまざまの程度に含む。
現在の谷氷河では,粘土がほとんどなく,主として両側の山地からくずれ落ちた岩片が運ばれている。
北欧,北米などでは,第四紀の氷河時代の氷礫土が認められ,中に含まれる巨礫はしばしば1〜2tに及び,数百kmも運ばれた例もある。
(コトバンクより)
しかし、大量に買い込んだ植物の苗たちは待ってはくれません。
ここで、お二人は庭の土作りの為に堆肥などの有機物を集め、奥さんの執念はスターバックスのコーヒーかすと動物園の糞にまで及んだそうです。
その結果、お二人は想像を超える微生物の世界を身を持って体感し、その内容が分厚い本書に盛り込まれています。
そして、大きな思考の変化を生んだようです。
「私たちは斜に構えた環境悲観論者から、慎重な環境楽観主義者へと変わった。」
「多くの人は自然を、肉眼で見えるほど大きな植物や動物のことだと思っている。
私たちもまだこの傾向を手放してはいない。
木を見るとき、私たちは天に伸びる枝、青空をバックにした葉の色や形を見る。
しかし、心の目ではもっと多くの、以前は隠されていたものを見ている。
私たちは一人ひとり孤独の存在であったことはない。
私たちの足元深く、そして私たちの身体全体に、自然という大木が生きた根を下ろしているのだ。
自然派遠く人里離れた土地にあるのではない。
それは想像以上に身近に、まさに私たちの中にあるのだ。」
コロナ禍だけではなく、異常気象による災害も多く、漠然と不安を感じることが多い昨今、
この言葉は私の恐怖心や不安感を軽くしてくれたと感じています。
慎重な環境楽観主義者、自分の心の奥に刻みたいキーワードだなと思いました。